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zoom RSS 『引き込み線』(Das zweite Gleis)1962年東ドイツ映画

<<   作成日時 : 2016/12/02 05:55   >>

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 『引き込み線』(Das zweite Gleis、ハンス=ヨアヒム・クナート監督)は、戦後分割された東ドイツで働くごく普通の人々が、忌まわしい過去を隠そうとするがやはり隠し切れない、という人間の業を静かに描いたドラマである。この映画が旧東ドイツで制作されたのは1962年、日本では浦山桐郎が『キューポラのある街』を完成させている。

 貨物線駅の転轍手として働くワルター・ブロックはある夜、二人組みの貨物泥棒を目撃する。すぐに警察を呼び出し、「一人の顔は覚えている」と報告した。ところが実際に容疑者を面通しする段階で、識別できたはずの顔を「やはりよく判らない」と言って否定してしまう。ワルターの上司も怪しむが、実行犯であるにもかかわらずワルターから否定されたエルビンも彼の言動を訝しく思い、共犯の若者、フランクにワルターの身辺調査を命ずる。

 フランクはワルターの娘で職場のオーケストラ指揮者であるヴェラに近づく。ヴェラは戦争末期に母親を失ったため、しばらく孤児院に預けられた過去をもつが、今は父のワルターとつつましく暮らしていた。しかし、フランクからの情報で、自分の父親の姓はブロックではなくメルケルであったことを知る。実はナチスの時代にヴェラの母親はユダヤ人を密かに匿っていたのだが、エルビン夫妻に見つけられてしまい、ユダヤ人はその場で射殺されていたのだ。フランクとともに真相を追究したヴェラは、母親についてもゲシュタポに連れ去られて収容所で死亡していたことを知る。父親のワルターは何もかも隠していたのだ。

 フランクから「すべてを知っている。最早隠さず公表すべきだ」と迫られたエルビンとワルター。エルビンは夜勤で線路を修理しているフランクの引き込み線に車両を送り込む。気づいたワルターが止めようとするのだが、遅すぎた。事故のあった貨物線路に向かったヴェラは、最早父親を振りかえろうともしなかった。

 ナチスに協力してユダヤ人を迫害した過去を隠しながら生きる東ドイツの市井の人々を描写し、「戦後とは何か」を厳しく問いかける作品である。旧東ドイツでの公開時は内容のきびしさのためか冷遇されたが、時代を経て高く評価されるようになった。また、特筆すべきなのは当時としては斬新で優れた背景音楽である。パヴェル・シマイ(Pavel Simai)という作曲家だそうだ。なお、ヴェラを演じるのは東ドイツで人気の女優、アンネカトリン・ブルガー(上写真)。日本では劇場公開されていないようだが、ドイツ語に英語字幕付のDVDなら市販されている。


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