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zoom RSS オペラ映画『蝶々夫人』(1995)

<<   作成日時 : 2017/10/05 00:13   >>

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 中国のソプラノ、イン・ファン(黄英、Ying Huang)をプリマドンナに迎え、配役のほとんどを東洋系のオペラ歌手でそろえたオペラ映画、『蝶々夫人』(1995)はなかなか見ごたえのある秀作だ。オペラは大昔からの伝統芸能なので、ジャコモ・プッチーニの蝶々夫人もなんだか古臭い女性観がただよっているが、そこは西洋歌舞伎だと思って我慢すれば、十分に楽しめる。監督は故ミッテラン大統領の甥であるフレデリック・ミッテラン。撮影はチュニジアに舞台セットを作って行なわれた。

 この映画が高く評価された要因は、なんといっても主役以下、すべての日本人役に東洋系(主に中国人)のオペラ歌手を充てたことだろう。コーカソイドはピンカートンなど数人のアメリカ人役しか登場しないのだ。これはイタリア・オペラとしては斬新なことなのだろうが、物語りの舞台が日本である以上、見るほうはむしろ自然な印象を受ける。何よりまず、蝶々夫人役のイン・ファンがいい。持ち前の魅力的なソプラノで、少し控えめな演技をしながら力むことなく歌っている。ソプラノ泣かせといわれる低音部にも伸びがある。メゾソプラノのニン・リアンの包み込むような歌声も、申し分ない。この二人の女性を終始、カメラが美しく引き立たせる。

 舞台美術も見所だ。ミッテラン監督は劇場のような派手なセットを徹底的に避け、反対に、日本の庶民が当時住んでいた質素な住宅と調度品、普通の女性が着用していた着物などにこだわった。蝶々夫人も振袖などは着ない。以前は地方都市で見られたような古い家屋のどっしりとした質感が感じられるカメラワークも良い。遠景には海のなかに、白くて地味な鳥居が静かにたっている。鳥居だけはちょっと私の好みではないが、これが西欧人からみた古き良き日本なのだろう。落ち着いて無自覚にたたずむ日本の美、みたいなものを再現した点では、日本映画に勝っている。

 また作品の最後のほうに、当時のお祭り――大名行列だろうか?――の実写フィルムが挿入されている。これも貴重な映像として、評価できるのではないだろうか。オペラファンならずとも、なかなか楽しめる映画である。

 日本版のDVDが発売されていないのは残念だが、輸入版なら英語・中国語・スペイン語の字幕付が販売されている。

以下は「ある晴れた日に」の抜粋をユーチューブからどうぞ。

(Youtubeより、画面右下の□で大画面になります。)

 ちなみに、日本を題材にしたオペレッタでは、英国のギルバート&サリバンの『ミカド』も人気がある。この中から有名な”the sun whose rays are all ablaze”をついでに紹介したい。この歌は英語の歌詞が非常にきれいである。日本の描き方が嫌いな向きもいるかとは思うが、こうした美しい歌で日本を紹介してくれるのはありがたいことだ、と私は思っている。

(Youtubeより、画面右下の□で大画面になります。)

 
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