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zoom RSS ドイツ映画『8月の霧』ナチスに暗殺された少年エアンスト・ロッサの物語

<<   作成日時 : 2017/08/17 01:59   >>

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 非常につらい映画を観てしまった。『8月の霧』(Nebel im August, 2016年、カイ・ヴェッセル監督)はナチスの安楽死計画によって命を絶たれた少年少女の物語で、実際にバイエルン州イルゼー修道院内の精神病院で行なわれた連続殺人を題材にしている。実在した少年エアンスト・ロッサ(Ernst Lossa、1929-1944)を演ずるのは非常に印象的な子役、イーヴォ・ピーツッカー。脇役では、セバスチャン・コッホ(「善き人のソナタ」「トンネル」)が善人面をしながら障害者を計画的に殺していく医師を演じ、オーストリアの名優、カール・マルコヴィクス(「警察犬レックス」「ヒトラーの贋札」)がエアンストの父親を演じている。

 エアンストは4歳のときに母を亡くし、父はイェニシェの行商人だった。イェニシェとはロマと同様、定住せずにドイツやオーストリアの広範囲にわたって住む移動型民族である。そのため彼と父はいったんナチスの収容所に入れられるのだが、その後、父は釈放、エアンストはバイエルンの精神病院に送られる。父が引き取りに来ても、イェニシェには生来定住所がないことを理由に、子どもを引き取る資格がないとして追い返されてしまう。この時、所長のファイツハウゼン(コッホ)は父に、「状況から察するに息子さんにとってはここのほうが安全でしょう」という。

 説得された父親が帰った後、健康な少年エアンストは病院内での雑用や介護を手伝う存在となるのだが、彼は妙なことに気づく。入所者たちの体重が徐々に落ちていくこと、ラズベリージュースを与えられた患者は死亡すること、そして彼らの死体から内臓が標本用に摘出されていることなどである。実はファィツハウゼンは、「ドイツ人は遺伝疾病から完全に解放されるべきであり、精神病院はその責務を負っている」という思想のもと、入所者を序列順に安楽死させていたのだ。

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生前のエアンスト・ロッサ

 ある日、エアンストはラズベリージュースを飲まされようとしていた少女を善良な修道女といっしょに助ける。修道女は施設の責任者である神父に相談するのだが、神父は枢機卿に報告すると言いながらも、「(安楽死は)ドイツ人全体にとって必要なのであり、我々の未来のためなのだ」という。「それで誰が生き残り、誰が死ぬかをあなたが決めるのですか」と問う修道女に、神父は「救いのない者たちを安楽死で”解放”するのだ」と答える。

 エアンストは脱出を決意するが、決行しようとしたその日に病院は空襲を受け、修道女は死亡する。衰弱していた少女のひとりが安楽死させられて埋葬された日、エアンストはファイツハウゼンを「人殺し」と激しくののしる。ファイツハウゼンは部下に命じてエアンストを毒殺する。享年14歳。


以下は中部ドイツ放送での紹介番組。


 映画のDVDはドイツ・アマゾンの以下のサイトから購入できる。ドイツではかなり良い評価が集まっているようである。https://www.amazon.de/Nebel-im-August-Ivo-Pietzcker/dp/B01LXALJYK/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1502930064&sr=8-2&keywords=nebel+august
 
 日本で現在市販されているのは、映画のシナリオ本↓↓。

Nebel im August - Filmbuch (German Edition)
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2016-09-12
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