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zoom RSS ファスビンダー監督『ベルリン・アレクサンダー広場』(1980)

<<   作成日時 : 2017/02/22 00:36   >>

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 著名な映画監督が手がけた評価の非常に高い作品をけなすのは、気がひける。だがやはり批判的な評価をしておこうと思う。原作はアルフレート・デーブリンがワイマール時代のベルリンを描いた小説、『ベルリン・アレクサンダー広場』で2回映画化されている。1931年作品(フィル・ユッツィ監督)のほうは、主人公フランツ・ビーバーコップフの内面に触れることなく、一人の善良だが不器用な人間が犯罪仲間のしがらみから逃れられない様子を普通のドラマとして描いている。よくあるタイプの娯楽映画だ。だが今回取り上げるのは、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーが1980年に監督したテレビミニシリーズ(14回)のほうである。



 まず、見所をほめておく。ファスビンダーの作品はジョイスの『ユリシーズ』よろしく「意識の流れ」を取り入れた手法で仕上げられていて、鑑賞するほうも色々と思いをめぐらしてしまうところは面白い。フランツがちょっと暗く、意識は混乱しているが善良なところも良い。新聞売りや靴紐の行商をやるところは、日本に置き換えれば寅さんのようなもので、それをホームドラマではなくギャング映画風にしたといった雰囲気だ。演ずるギュンター・ラムプレヒトも非常に達者な役者で、難しい役どころをみごとに演じている。共演のハンナ・シグラやバーバラ・スコヴァも実にいい。影の主役ともいうべきラインホルトも、ドストエフスキーのスメルジャコフを想像させるような演技が真にせまる。注意深く観ていると、背景に貼られたポスターに”平和活動家カール・オシエツキー有罪!”などと書いてあったり、またフランツの売る新聞がナチス擁護派であったため友人から仲間はずれにされて職を替える展開があるなど、時代背景を知るうえではなかなか勉強にもなる。では、何がいけないのか?

 全体をとおして女性差別を感じるのだ。まず冒頭、フランツは恋人を殴り殺してしまったため入っていた刑務所から出てくる。すぐに行くのが女郎屋だ。そして殺してしまった女性と住んでいた家に4年ぶりに戻ってくるのだが、宿の世話役である女性は彼を誠実な人間として信頼している。殺人現場に居合わせたにもかかわらずである。出所後、酒場で出会ったかわいい女性といっしょに暮らしはじめるフランツだったが、友人のラインホルトが「別れたい女性を引き受けてくれ」と頼み込んできたため、自分の彼女を他の男に押し付けてしまう。このシーンでは自分の女房をカタに賭ける日本映画、『麻雀放浪記』を思い出してしまった。さらに事件以前、フランツはエファ(ハンナ・シグラ)という娼婦のヒモだった時期があり、彼女とはその後もずっといい友達である。エファは自立しようと努力するフランツにかわいいミーツェ(バーバラ・スコヴァ)を紹介するが、二人には子供ができないとわかったため、ミーツェはエファにフランツの子供を産んでほしいと頼む。フランツもこれを承諾する。仕事のほうはラインホルトに頼んで泥棒の片棒をかつぎ、その金でミーツェに物を買ってあげている。ミーツェはエファと同じく娼婦をして実質上フランツを養っているが、ある日、他の男と親しくなる。これを知ったフランツは彼女をひどく殴る。すんでのところでラインホルトが止めたため、ミーツェは大怪我をしながらも殺されずにすんだ。それでもひたすらフランツを深く愛するミーツェはお互いのみぞを埋めようとするのだが、それが災いして結局、最後にはラインホルトに殺されてしまう。こんな映画を名作だと誉めている女性の頭の中が、私には理解できない。(上の写真はハンナ・シグラ) 


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